
海外のナーサリーから、今季新導入のいろいろ珍しい植物の種子が入荷しました!^^
非耐寒性コーデックスなどのいわゆる「ビザールプランツ」ではなく、温暖化しつつある日本でも庭植えできそうな、屋外での新感覚植栽志向のセミトロピカルプランツを中心としたセレクトです。
ほとんどが、日本国内では苗の流通が皆無か、あってもごくわずかなもの。特に今期入荷の種子は、乙庭でも過去に取り扱ったことのない新導入のものも多いので、まだ植物名は秘密にさせていただきますね。とはいえ、種子を見るだけでも大きさや形にも多様性があり、面白いですね。^^
一部の種は乙庭オンラインショップでも種子で販売予定なのでどうぞお楽しみに!
植物や庭から広がる心豊かな暮らしを提案するweb情報サイトGarden Storyでの私の連載、「ACID NATURE 乙庭Style」でも2回シリーズで掲載したのですが、真冬の安定して暖かい室内環境を利用してこれらセミトロピカルプランツの種まきすることを、乙庭でも実践しています。
Garden Storyの記事2編はこちら↓ ぜひ、本記事と併せてお読みくださいませ ^^
暖かく過ごす冬の園芸作業! 夢も広がるセミトロピカルレアプランツの種まき 概要編【乙庭Styleの園芸1】
暖かく過ごす冬の園芸作業! 夢も広がるセミトロピカルレアプランツの種まき。実践編【乙庭Styleの園芸2】
これら温暖地原産の植物の実生栽培は、春〜夏まきが一般的なのですが、春まきだと他の園芸作業と忙しい時期が重なって大変だし、初夏以降は暑さや蒸れで、芽出し〜極小苗の時期の管理が難しいんですよね。
現代では、LED電球も良いものが普及していますし、住宅性能の向上で冬でも安定して暖かく過ごせますので、ガーデニング的には比較的ヒマな真冬の時期に、暖かい屋内で、温暖地系植物の実生苗作りするのは理に叶っているのではないでしょうか。
乙庭新社屋でも、ショップの照明と植物の育成や徒長防止も兼ねて、上写真の植物育成用LED電球を導入しました。見た目も結構カッコいいですよ。
こちらの商品です↓
LED PlantLight 18W 植物育成使用 白色電球 E26
白色電球とのことですが、点灯すると上写真のように少し赤みの暖色を帯びた光です。むしろ温かみのある光色で、普通にご家庭で使用しても違和感ないと思います。^^
2020年度からは、このLEDライトと、改装前からある床暖房設備の熱をフル活用して、真冬の種まき〜苗作りをしています。
冬の間に状態の安定した小苗にまで育てておくと、春以降の暖かい時期をフルに活用して屋外で大きく育て上げることができますよね。
↑2019年12月に種まきしたプヤ・アルペストリス Puya alpestris の1ヶ月経過時の様子。安定した屋内の環境下でほぼ全数芽吹いています。
あと、今回のガーデンストリーへの投稿意図としては、「冬の園芸は寒くツラいけど、我慢して冬作業を乗り越えることで良い庭ができる」みたいな努力根性論とは別の、「楽」を肯定する選択肢を提示したかったんですね。
それなりに冬の寒い外作業も必要ですし、夏の猛暑や大雨、植物が枯れたりなどなど、園芸って冬だけでなく年中それなりに体力・耐力・努力を必要とします。でも、何事も楽しく長く続けるためには、毎日がキツくならないように負荷を軽くすることも大事ですよね。
わざわざ、冬の寒い時期に毎日外作業で冷たい土と格闘するばかりでなく、気密性の高い暖かいお部屋で植物の芽吹きをいち早く・快適に楽しむ。
そんな、現代の園芸家ならではの特権を享受したってよいのではないかなと思うのです。
ちなみに今回の種子は、本来ですと2019年末には届く予定だったのですが、海外種苗業者の「日本人の感覚からすると」激・長いクリスマス休暇が間に入ってしまい、今ごろになっての到着となりました ^^;
とはいえ、海外の業者さんとやりとりしてると、これくらいのことは日常茶飯事。大らかに受け流し、早速、春に向けて種まき開始です。
↑やや三色弁当作りのような2020年版 乙庭のタネまきシーン。
乙庭では、多品種少量生産なので、省スペースも兼ねて市販のフードパックを使って、とてもコンパクトな規模でタネまき作業をしています。たぶん一般の家庭園芸でも応用しやすいスケール感でしょう。
乙庭流のタネまき栽培の要領について、上記 Garden Storyの記事に詳しく書いてありますのでご参照ください ^^
ここでひと息、今日のBGM。この記事を書きながら聞いている音楽をご紹介します。
今日は最近、気になっていていろいろな盤をチェックしているポストクラシカルミュージックの作曲家、マックス・リヒター(1966-)さんによるヴィヴァルディ「四季」の再構成、「RECOMPOSED BY MAX RICHTER: VIVALDI FOUR SEASONS」です。
では、タネまきの話題に戻ります。実生から植物を育てるのは、時間や手間もかかりますが、育て上げることでその植物の一生に関わることができ、園芸家としての学びがとても多いです。
↑まるで茶葉かスパイスのような「ちょっと美味しそうな」雰囲気の種子たち。 一番手前のだけタネ明かしするとエキウム・ファスツオスム Echium fastuosum です。^^
趣味の園芸家でも、実生から栽培される方の多くが、種子の大きさ形や芽吹きの様子、夏冬の成長の過程、花後の枯れ姿まで、その植物の一生や見どころの変遷を映像記憶で克明にイメージできますよね。
私も、そのような素人園芸家から出てきた人間で、苗で手に入らない植物は、種子を輸入したり、趣味家のお友達と種子の交換したりして、自身で一から育てることで知識や芸風を深めてきました。そう考えるとタネまきって私の園芸の原点なんですよね。
↑以前、乙庭で種子から育てたエキウム・ファスツオスム (20151124撮影)。
乙庭を起業してからは、さすがに全部の植物を種子から育てるのは実質ムリになってきて、ここ数年は生産者から仕入れるモノの比率も大きくなってきました。特に、高崎の旧・乙庭店舗は、種まきして管理するような場所も環境もなかったですし。
でも私は、「植物よりもビジネスが好きな商人になりたいわけではないな」、ということをここ数年思い続けていて、「他人が作った植物ばかりを売ること」に、なんとなくフラストレーションを感じていました。
現状に不満があるなら、自分と環境を変えちゃうのが一番ですよね。というわけで、私の実家でもある新社屋に移転(戻る)のを機に、また「植物を自分で育てる」ライフの比重を戻していきたいと思っています。
しかも従来のタネまきライフを取り戻しつつ、21世紀型スタイルに統合的進化もしようかな、と。新社屋とはいっても私の実家なので、基本スペックは普通の住宅とあまり変わりません。乙庭新社屋で行う建築や植栽の実験的試みの多くは、一般のご家庭でも応用可能でしょう。身の丈感覚だけど新しい園芸・生活スタイルを、ここ乙庭新社屋の日常から発信していきますね。
2019年末から本格的に再開した新導入輸入種子のタネまき育苗作業。2019年12月にまいたユッカ・ブレビフォリア ‘ブルー’ Yucca brevifolia ‘Blue’ も、新社屋の床暖房と植物育成LEDで、1月上旬には↑ほどにも育ちました。真冬の園芸の「新しい楽しみ方」ですね。^^
私にとってはちょっと懐かしくもワクワクする、滾る(たぎる)園芸家ゴコロが蘇ってきました。^^
初心を忘れず「植物の一生」と共に生きる人間でありたいです。
「近道を探そうとしないこと。
価値のあるよいことはみんな、時間も手間もかかるものです」
ターシャ・テューダー(Tasha Tudor 園芸家・絵本画家 1915 – 2008)
今日の一冊
ターシャ・テューダーの言葉 ベスト版 私は人生をバケーションのように過ごしてきたわ
(KADOKAWA刊) / ターシャ・テューダー(著) 食野 雅子 (訳)
時代映画作品のように美しいリアルアンティークな自給自足ライフスタイルを貫いたターシャ・テューダーさん。作り物のように見えるほど徹底してオールドナチュラルな庭と家、そして完全に風景にとけこんだターシャ・テューダーさんご本人&愛犬の、絵画的で美しい生活写真に圧倒されたガーデナーも多いことと思います。私は、おおらかにあるがままを受容する、シンプルで哲学的な示唆に富んだターシャ・テューダーさんの言葉にも、多くの「生きる指針」をいただきました。「ターシャ・テューダーの言葉」は、シリーズで全5冊出ていますが、全巻買うくらいならこのベスト版も選択肢としてアリかなと思います。
私、ACID NATURE 乙庭 太田敦雄の著作本、
「刺激的・ガーデンプランツブック」(エフジー武蔵刊)、好評発売中でございます ^^
乙庭オンラインショップで著者サイン入り版を販売しております😀
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