
(写真:20190512撮影 華道レッスンで使ったベニバナとデンファレに自分らで買った花材を足してリアレンジ 乙庭副代表 松島作)
乙庭新社屋の2〜3階は私の自宅兼、副代表松島とのデスクワークや会議用オフィススペースなのですが、2階のリビングダイニングルーム(仕事のミーティングルームでもある)には、常にお花を飾るように習慣づけています。^^
※ちなみに、引っ越しを進めていますが、まだまだ絶賛工事中 ^^;
私も松島も、植物を中心とした美意識をより磨くために、華道のレッスンにも通い始めたことを先日書きました。新社屋で生けるお花は、レッスンで持ち帰った花材を使った復習だけでなく、自分たちで花材を買い足して、フリースタイルでアレンジして楽しんだりもしています^^
華道では花材を長持ちさせる技術も学びますので、同じ花材を日々違うアレンジにして何バージョンも楽しめますし、傷んできた素材から順に少しずつ素材を入れ替えたりもできるので飽きないですね。
(写真:20190518撮影 記事トップ写真から数日楽しんだ後、傷んだ素材を抜いて、さらに違う花器にリアレンジ)
お教室で学ぶお花は「規定演技」、新社屋で生けるお花は「自由演技」みたいな感じでしょうか。生け花もメタに捉えてみれば、「生活の美学」ですよね。その「生活の美学」の中でも文化といえるまでに体系立てられ洗練を究めたマナーが華道といえるでしょう。
華道のお教室で伝統の流儀・技を体系立って学ぶと同時に、私どもが乙庭でやってきた植物・植栽に関することも「生活の美学」に属することなので、お教室で得られた学びや技能に、乙庭がすでに持っている植物の知識や個性を「掛け算」することで、また新しい発見もあるのではないかとも思うのです。
(写真:20190508撮影)
2週間前の↑のレッスンでのお花から、数回の花材の付け足し・部分入れ替えを経て、記事冒頭写真のアレンジになっています。常に流転変化があって飽きませんね ^^
この後、話がいろいろ脱線して長くなるかもなので、ちょっと一息。今聴いてるBGMをば ^^
(この時点で脱線ですが ^^;)
最近お気に入りでよく聴いている、ヴァイオリニスト 五嶋龍さんによる、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、フランク:ヴァイオリンソナタ他です。
本記事のお花のBGMとしては、フランクのソナタがぴったりと思うのですが、五嶋さんによるクロイツェルソナタの演奏も本当に素晴らしくて、最近「自分を鼓舞したい時」によく聴いています。ベートーヴェンの中期名作はどれも本当にアツいですよね。人生に立ち向かう勇気を与えてくれる、人類の至宝と思います ^^
お花の話に戻ります^^;
まぁ、自分ん家に好みに花を設えるだけなので、単に楽しい遊びの一環なのですが、「この場所にはどんな花が似合うかな」とか「この花と何を合わせようかな」と考えながら身銭を切って花を買い、遊びなりにも想像力を使って少し真剣に考えるだけで、リスクなくいろいろな掛け算実験ができるんですよね。そのようなコツコツした積み重ねが創造性を鍛えるトレーニングになっているように思います。
これに関連して、齋藤孝氏の著書「読書力」の中に、「なるほど」な一節がありました。
「『本屋に行って自分の身銭を切って買え』と学生には言う。それは身銭を切ることで言葉がからだに染み込む構えができやすいからだ。」 (引用ここまで)
読書力 (岩波新書)齋藤孝
お金を払えばいいというものではありませんが、お金を払うからには、それを無駄にすまいと思う身構え・心構えもできます。自己投資のリターンは25%以上あるとも言われていますから、完全なる「浪費」にはならないですし、回収率をより高めていこうと思うと、おのずと本気度もアップしますよね。
少なくとも一日一日を充実して豊かな気持ちで過ごせれば、それだけでもとても価値のあることですよね。花を一輪買って生けることでさえも、生活の美意識がなかったらなかなかできないことなので、仏壇にお花を備える例を除けば、美意識をもって花を飾ることを毎日実践してるだけも、日本の全人口の5%くらいには入れるんじゃないでしょうか。意外とブルーオーシャンです。
先に少し触れた「掛け算」の話について。乙庭がこれまで提案してきたことも、「建築×植栽」とか「昭和園芸×コンテンポラリーな植栽」とか「植栽×写真×文章のセルフプロデュース」など、概ね全てが掛け算の結果によるものだったように思います。
(上写真 : 2018年に乙庭が植栽デザインを手がけた、Suppose Design Office 設計の住宅。コンテンポラリーな住宅にマツやアガベなど、ジャンルまたぎの植物を組み合わせています。)
学生のときはDJでジャンルまたぎでいろいろなの音楽を組み合わせてかけたり、大学では建築を学び趣味の園芸を仕事にして建築とコンセプトまで合わせた植栽を考えたり、店の空間を利用して同時代アートの展覧会をプロデュースしたりとか、興味の赴くままに生きてきましたが、そんな私の人生そのものがまんま掛け算みたいだなと最近よく思います。
(上写真 : 乙庭プロデュースのアート展覧会シリーズ 生物図鑑19 小林商会×山本彌「幻実展」の会場風景 会期20140215 – 20140302)
おそらく私生来の「遊び体質」が運良く奏功してしまったんでしょうね ^^; 何かしらの枠に収まるのが苦手というか、すぐ枠外に出たくなっちゃうというか。^^;
結果の良し悪しは別にしても、多領域をまたいだ自身の好奇心の掛け算で、少なくとも他の人とカブらない固有の立ち位置を得らたのかなと思います。そして、巡り巡って、今ではその「混ざり具合」が仕事上のクリエイティブな部分でも強みになっているという… 。「遊び」と一蹴しないで、趣味もとことんやってみるもんですね。人生どこで何がつながるか分かりませんから^^
最近の関心事としては、フランスの文化人類学者・哲学者 クロード・レヴィ=ストロースが提唱した「ブリコラージュ」という概念が気になっています。それはどういうものかというと、アマゾンの原住民の生活などに垣間見られる、「何かに使えるかも」と直感的に思ったものをとりあえず取っておくと、別の意外な場面でそれらを寄せ集めて作った道具が役に立つという、一見全く論理性を欠いたような行為の中にある創造的普遍性を示したものです。
現代の人間が変化の激しい21世紀を生き延びるためには、一見最重要と思えないようないろんな知見をいっぱい溜め込んでおけば、それらを適宜組み合わせて、オリジナリティのある何か新しいモノを作り出せるのではないかと思うんですね。というわけで、自分好みのいろんなことを深く広く知っていくことは、いずれなんらかの形で役に立つこともあるんじゃないですか?ということですね。なんだか説教ジジィみたいになってしまいました。すいません ^^;
てなわけで、教養と思考の強化も兼ねて、お花を飾る日常生活をエンジョイしています ^^
「専門分野が、もし1つではなくて2つあれば、人材の希少価値はぐっと上がります。
もし3つなら、最強かもしれません。」
(廣津留すみれ バイオリニスト 1993〜)
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