
(写真:2019605撮影 乙庭新社屋にて)
2019年4月から私と乙庭副代表の松島ともども師範への道を歩み始めた、草月流生け花のレッスン記録です。^^
今回は、定番位置、書画の前の席が取れなくて、いつもとは違う背景での写真撮りになりました。自由花2作品と、教科書に沿った型生け作品の計3作を生けました。
↑20190604のレッスンでの私の自由花2作です。
今回は、季節がら、アリウム ギガンテウムやシャクヤクなど、ゴージャスな花材が多く、なかなか生け応えがありました。単体でも華がある花材というのは、大体どう生けても美しくキマるので、意外と凡庸に陥り易いワナがありますね。ちょっと緊張感高めて生けました。
上写真:1作目は、与えられた花材をほぼ全て使用した大きな作品です。
2作目は、同色系の作品というテーマで、今回の花材ですとピンク紫系を選ぶ方が多いかなと思い、あえて、他の生徒さんがあまり選ばなそうな白緑系の色調で生けました。
自作を写真・動画で見返すのは、反省とさらに上位の思考につながり、よいアフターレッスンになりますね。私的に今回のレッスン花材のポイントとしては、
・枝モノのスモークツリーをどう使うか
・白花のガーベラとユーフォルビア マルギナータの配分
・丸みのあるアリウム&シャクヤクの花と対照的なカンパニュラの活かし方
だったかなと思います。
今回は、1作目のバランス取りでややてこずり、仕事も早朝から忙しかったせいもあって、ちょっと脳疲労というか、意思決定疲れしてしまい、1 作目の後、ちょっと休憩を取りました。
なんと「エーゲ海クルーズ!」の船旅帰りの生徒さんがいらっしゃり、ドブロブニク土産のドライフルーツをお茶菓子にいただきつつ、ちょっと一息。英気を取り戻して2、3作目を生けました。エーゲ海の真珠ですね ^^
ここで今日の音楽。この記事を書きながら聞いているBGMをば。
お花のレッスンの時にもかかっていた、チェコの作曲家、レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)のピアノ作品集です。私がお花を教えていただいている笠原智廣先生は、ピアニスト・スーパーピアノ講師としてもご高名で、お花レッスン時も先生セレクトのBGMがいつもかかっていいます。私的にはそれもお花レッスンの楽しみのひとつになっています。^^
先生がかけていたのとは別の盤だと思いますが、今回は私の愛聴盤であるアンドラーシュ・シフ盤をご紹介します。ジャズレーベルとして有名なECMレーベルの中でも、現代音楽・クラシック・古楽に焦点を当て現代的新解釈でリリースしているECM New Series から出ている盤です。ECM New Seriesは、お洒落なビジュアルアートワークでも人気の高いECMからのシリーズだけに、まずジャケも素敵ですし、クラシックも古楽も、ジャズのように知的な都市生活シーンにマッチする良盤の宝庫ですね。ジャンルの枠を取り払って、クラシックについても良い演奏を、保守ではなく革新的解釈を良しとしてリリースするレーベルの思想にも共感します。
アンドラーシュ・シフ盤のヤナーチェクも、出だしの「霧の中で」から、幻想的な世界観漂い、BGM聴きするには、とても大人っぽく素敵な一枚と思います。私的には、ヤナーチェクは本腰入れて聴くとちょっと疲れるタイプの作曲家で、生活のBGMとして空間に流れているくらいの聴き方が心地よいです。
収録曲
1 ) 4つの小品「霧の中で」
2) ピアノソナタ「1905年10月1日街頭にて」(第1楽章「予感」、第2楽章「死」)
3) 組曲「草かげの小径にて」第1集(われらの夕べ 散りゆく木の葉 一緒においで フリーデクの聖母マリア 彼女たちは燕のようにしゃべりたてた おやすみ こんなにひどくおびえて 涙ながらに ふくろうは飛び去らなかった)
4) 組曲「草かげの小径にて」第2集
5) 組曲「草かげの小径にて」補遺(パラリポメナ)
6) 思い出
(写真:2019604撮影 松島作)
お花の話に戻りまして、同レッスンでの松島の作品がこちら↑。^^
松島の今回作は、どれも引き締まった器選びで、シュッとした印象ですね。松島は2作目の同色系課題をピンク紫系で解きました。アリウム、シャクヤク、カンパニュラで、ゴージャスキレイです。^^
レッスン翌日、自身のレッスン作品を見返して考察し、乙庭新社屋で生け直してみました。スモークツリー を背景のボリュームと前面の霧のように利用し、白はほんの差し色程度に使って、ピンク・紫色の花を床面の青と対比させました。
ちなみにこの花器も乙庭新社屋の床塗装の技法開発の習作。私が手描きで彩色した玉虫色の花器です。もとは「母が仏花を生けていた」真っ黒の(しかもデカい!)花瓶でした。^^;
このイリディセント(玉虫色)な花器は、私としては新社屋建設の過程で、最も思い出深いもののひとつです。
実際に床の彩色塗装をどのように施工するかの手法が一向に決まらぬまま建築家が匙を投げた2018年末、妥協しないで自身で突破口を見出そうと、全くもって絵心のない私が、いろんな塗料を試行錯誤&実験していく中で、「玉虫色」に塗る技法の手応えを得た最初の作品です。私がこの技法を見出せなかったら、新社屋の床塗装もどんなことになっていたか分からず、今、振り返ってみると本当に危ない綱渡りだったと思います。
↑上写真はやや暗いところで撮った写真。写真をめくっていただくと3枚目が術前の真っ黒だった時の状態です。
↓下写真は、同じ花器を明るいところで撮った写真です。明るさや周囲の壁床の色などを反映して見え方が大きく変わり、まさに「玉虫色」になったかなと思います。
自ら手と脳を駆使して学びを作り出していく姿勢を持つことで、「逃げ出すことなく、苦難を突破していく」反臆病のフォースを得られますね。
ちょっとした創意工夫を凝らすだけで、人生が楽しく豊かなものに変わる気がしませんか?
「雑然とした多様の中においても、コンダクターがしっかりしていれば、すばらしい創造が可能である。人生を芸術にする−これぞ最高の知的生活である」
(外山滋比古 英文学者・評論家 1923 – )
今日の一冊
「ライフワークの思想」(ちくま文庫) 外山滋比古(著)
私、ACID NATURE 乙庭 太田敦雄の著作本、
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