
建築家 藤野高志さんと乙庭代表の私、太田敦雄が協働設計し、現在工事が進行中の乙庭新社屋プロジェクト「覆(おおい)」についての対談記事が、2019年7月1日刊行の建築雑誌「GA JAPAN 159」の特集「MOVIE/建築」の中で5ページにわたり掲載されています。
映画・映像的なイメージやアプローチから思考された建築についての特集です。私どもの対談以外に、映画監督と建築家の対談を含め、映像作家、文化人類学者、建築家など、多分野にまたがる全9組をフィーチャーし、建築の新しいビジョン・動向を考察する興味深い特集です。
ぜひ誌面でも、多くの方にご覧いただけたら幸いです。
GAは、建築写真家の二川幸夫さんにより創刊された、先見性と審美性の高い、日本を代表する建築雑誌のひとつです。私が建築学生だった頃も、憧れの雑誌でした。現在の私は、植栽という、建築とは畑違いの仕事をしていますので、GAの大きな特集に「建築設計者の立場で」取り上げていただけるとは、身にあまる光栄です。本当にありがたいことです。
GA JAPANのサイトでも、大建築家!安藤忠雄さんの下に載っていて、人生の記念になりますね ^^
今回の特集「MOVIE/建築」では、「映画」「映像」を切り口に、映像・建築の両サイドの方々による多角的な論考や対談がまとめられています。各々の記事の最後には、その記事内容とコーディネートされたのであろうと思われる、世界の歴代名建築が掲載されています。
私と藤野さんの対談記事には、ジャン=リュック・ゴダール監督作品「軽蔑」(1963)でも印象的なシーンのロケ地となった、イタリア カプリ島の海を望む崖上に立つ、マラパルテ邸の美しい写真が添えられていました。
2019年3〜6月に開催されていた建築展「GA HOUSES PROJECT 2019」への出品にあたり、私が書いたテキストの最後に、アルチュール・ランボー「地獄の季節」からの詩篇を引用したのですが、その篇はゴダール監督の映画「気狂いピエロ」(1965)のラストでも象徴的に流れます。
「気狂いピエロ」でも地中海の美しい青碧が多く登場しますし、実際に床の着彩をしている私の印象としても、ピアノが置いてある2階の色の移り変わりは、「気狂いピエロ」の記憶や、ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」から感じ取れるような、南仏〜イタリアにかけての陸海・陽光のイメージにもインスピレーションを得ているので、今回の対談記事に合わせてマラパルテ邸の写真を見開きで入れてくださった編集構成はとても奥深く、見事と思いました。
ここでひと息、この記事を書きながら聞いているBGMをば ^^
マウリツィオ・ポリーニ演奏による、ドビュッシー「前奏曲集第1巻、喜びの島」です。ドビュッシーの前奏曲集もいろんな演奏家の盤を愛聴していますが、今日はポリーニ盤にしてみました。カプリ島の景色に合わせるなら、やはりイタリア人ピアニストで聴きたいでしょう。ポリーニさんの明快キレッキレな音色は気分にピッタリです。
前奏曲集第1巻 第5曲「アナカプリの丘」は、ドビュッシーがナポリ地方を旅行したときの印象から着想を得た楽曲といわれています。アナカプリは、まさにマラパルテ邸のあるカプリ島内の地名ですね。第1巻 第10曲「沈める寺」は、ブルターニュ地方に古くから伝わる伝説からインスピレーションを得た作品です。「沈める寺」の「寺」は、仏教的なお寺ではなくて、キリスト教会のカテドラル。海底に沈んでいた大聖堂の尖塔が、聖歌や鐘の音とともに海面に現れ、また次第に海に沈んでいく、という情景をイメージしているといわれています。「喜びの島」エーゲ海のシテール島を題材にした絵画「シテール島への巡礼」に影響を受けた作品。海と光のある心象風景ですね。
建築雑誌掲載の件に戻ります ^^
ちなみに2019年3〜6月に開催された建築展「GA HOUSES PROJECT2019」の内容は、↓の特集誌にも掲載されておりますので、もしご興味がありましたら、こちらも併せてご覧いただければ幸いです。

俺は自然の光の金色の火花を散らして生きた。
歓喜のあまり、俺はできるだけ道化た、錯乱した表現を選んだ。
アルチュール・ランボオ(詩人 1924 – 1997)
私、ACID NATURE 乙庭 太田敦雄の著作本、
「刺激的・ガーデンプランツブック」(エフジー武蔵刊)、好評発売中でございます ^^
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