
2019年4月から私と乙庭副代表の松島ともども師範への道を歩み始めた、草月流生け花のレッスン記録です。^^
レッスンでは、自由花2作と草月流の教科書に添った型生け課題1作の計3作品を生けます。
↑は20191112のレッスンでの私の自由花2作です。
今回の主役級枝モノ は赤い実がたくさんついたノバラでした。それに加え、バーゼリアやヒペリカムといった実モノ、赤い炎のようなケイトウなどを使い、クリスマスに向けての気分もちょっと意識して生けてみましょうという課題。
生徒ごとにノバラの枝ぶりが異なるので、それぞれの枝の個性を生かした作品となるわけですが、私がいただいた枝は、植栽家目線から見ると平行枝や交差枝が多く、そのままで使うにはちょっとゴチャついた姿に感じられました。ので、まず剪定のように余分な枝を透かしてメイン素材としての姿を整え、剪定で出た枝も新たな素材として利用することにしました。
まず1作目は、大きなノバラの主枝と剪定で出た小枝で右上から左下へと、白い花器をまたいで赤い実の拡散系の斜めラインを作り、その他のお花を、マッス状に「赤白緑」の色合いを強めに感じるように生けました。配置・分量に注意しながら差し色の黄色・ピンクを添えています。
自由花2作目は、クリスマスっぽさを演出できる白い器を逃してしまったので ^^;)、器を目立たせないようにする作戦に転じました。黒っぽい土色の重い器を使い、ノバラの枝を超・横使い!危ういバランスが生み出す緊張感を主調にしました。そして黒っぽい器の前面に、ノバラの小枝の「血管のような茎のシルエット」が浮かび上がるように垂らし、滴るような妖艶さを演出しました。白い器の逃した時点でクリスマスのイメージは捨てまして、ほぼ自分の趣味性重視で生けています。 ^^;
今回は自由花2作とも、意図やストーリー性で高評価をいただき両方100点でした! そして、写真を載せていませんが、教科書生けも100点をいただき、初の3作制覇となりました。^^
ここでひと息、今日のBGM。この記事を書きながら聞いている音楽をご紹介します。ウラディーミル・アシュケナージさん (Vladimir Ashkenazy)演奏 によるスクリャービン作品集「焔に向かって(Vers La Flamme )」です。
つい先日 2019年11月17日に、お花レッスンの会場でもある笠原先生のピアノアカデミーにて、パリ エコール・ノルマルの教授 ギグラ・カツァラヴァ先生によるスクリャービンについてのレクチャーコンサートに行き、とても多くの学びを得ました。今日のセレクトは、そのスクリャービン講義の復習と今回のお花レッスンで使ったケイトウなど焔的なメラメラ素材にもちなんで。^^ カツァラヴァ先生のレクチャーコンサートのことは、また記事を改めて詳しく書こうかと思っています。「19世紀末〜20世紀における最も偉大なる芸術的作曲家のひとりであると同時に最大の謎のひとつ」とも評されるアレクサンドル・スクリャービン(1872 – 1915)について、初期のショパン的ロマンティシズム〜後期の神秘主義への作風の変遷やそれを生み出した時代や文化的背景に至るまで、カツァラヴァ先生による素晴らしい演奏も含めて、たいへん専門的で示唆に富んだレクチャーでした。絵画や詩文学など、20世紀初頭に花開いた「ロシア象徴主義文化」もからめての幅広い視座からの講義で、たいへん感銘を受けました。ピアノ学習者でなくとも、普通に「教養」としてとても有意義な学びの機会だと思いました。
そんなこんなで、このアシュケナージ盤「焔に向かって」ですが、スクリャービンのピアノ作品の全容をざっくり掴む観点からみて選曲が秀逸。ごく初期の作品かつ名曲「3つの小品 op.2-1 」から始まり、最晩年の作「5つの前奏曲 op.74」まで、時代ムラなく網羅されていて、スクリャービンの生涯作風変遷を感じ取るのにとてもよいです。副作用として、通して聴いていても次第に雰囲気が変わっていくので、飽かず楽しめます。本気聴きでなくBGMとして流しておいても、とても大人っぽい雰囲気で、しっとりとしたジャズとはまた違ったお洒落さがあると思います。
ウラディミール・アシュケナージさんは言わずとしれた現代最高のピアニスト・指揮者のひとりです。本盤「焔に向かって」はご高齢になってからの録音となりますが、技術的な衰えを感じるどころか円熟みも深遠さも妖艶さも万全完璧で、スクリャービン演奏のひとつの極致と思います。
はい、ではお花レッスンの話に戻ります。
続きまして、同レッスンでの松島の作品がこちら↓。^^
今回は、ノバラ、ヒペリカム(赤・緑)、バーゼリアと実モノが多く、ともするとキャラカブりになってしまいそうな実モノの使い分けが私的にも難しかったのですが、松島もその点で苦心したようです。
自由花1作目は土を感じさせる花器にまずノバラを生け、それが器にしたがって止まった傾斜を主軸にして、「風に吹かれているような」たなびき感を演出した作品。左下のガーベラの真横っぷりがなにげに大胆! ^^
2作目は「西洋風」を感じる器を用い、アンバランスを意識した1作目とは異なり、バランス整った優美さを意識して生けています。とてもさりげないんですが、無造作なキクの葉で器の縁のラインが隠されているのがポイント。器縁の真っ直ぐな横線が見えてしまうだけで、花と器が分離した存在に感じられ、作品の一体感が損なわれてしまうんですよ。細かい部分にも配慮が行き届いていますね 。^^
「『自分のスタイル』を持つということ。スタイルは固定ではありません。宝物を手入れするように、絶えず磨いていくものです。」
(松浦弥太郎 文筆家 1965 – )
今日の一冊
しごとのきほん くらしのきほん 100 (マガジンハウス刊) 松浦弥太郎(著)
しごとのきほん くらしのきほん 100 (マガジンハウス刊) 松浦弥太郎(著)
いろいろな作品を読むほどに、とても考え方が近いと思うことが多く、最近ハマっている松浦弥太郎さんの著作から。
「しなやかに」「ぶれずに」「毎日を新鮮に」生きるための「意外と実践できていない、とても基本的なこと」が、シンプルで平易な文章で「しごと」「くらし」について100項目ずつ綴られています。合計200項目ですが、多項目でも食傷してしまうような重さやお説教くささを全く感じさせないなのは、よく練られて整理された思考と文章力のなせる業でしほう。むしろ読み進むにつれ心地よい気分になれる、清澄なお水のような一冊です。
私、ACID NATURE 乙庭 太田敦雄の著作本、
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