
(写真:20200102撮影 乙庭新社屋にて)
2019年末の華道レッスンでいただいた花材を、おさらいとオフィスの華やぎも兼ねて乙庭新社屋で新年バージョンで生け直してみました。乙庭副代表 松島の作品です。^^
2019年12月のお花レッスンでは、大ぶりで長持ちする枝モノが多かったので、それらをふんだんに用いて、とてもダイナミックで雅やかな作品となりました。お正月飾りも気分が華やぎますが、大きな生け花を飾るのも、謹賀な演出になってよいものですね。 ^^
年末、いろいろ慌ただしくしていて、私の花材の手入れが行き届かず、千両やオンシジウムがややクッタリしてしまったのが惜しいところですが、単体の生け花作品としても、空間的な収まりバランスよく、華やぎ気分で仕事始めを迎えられそうです ^^
ここで今日の音楽。この記事を書きながら聞いているBGMをば。
珍しく歌曲で、クリスティーネ・シェーファーさん(Christine Schaefer)歌唱によるドビュッシー&ショーソン歌曲集「LE TEMPS DES LILAS – DEBUSSY & CHAUSSON SONGS」です。^^
- 『リラの花咲くころ~ドビュッシー,ショーソン歌曲集』/
クリスティーネ・シェーファー/ステッラ・ドゥフェクシス/アーヴィン・ゲージ
- 収録曲
- 1. 魅惑と魔法の森でop.36-2/(エルネスト・ショーソン)
- 2. 4つの歌op.13 – 第1曲「静けさ」/(エルネスト・ショーソン)
- 3. 4つの歌op.13 – 第2曲「セレナード」/(エルネスト・ショーソン)
- 4. 4つの歌op.13 – 第3曲「告白」/(エルネスト・ショーソン)
- 5. 4つの歌op.13 – 第4曲「せみ」/(エルネスト・ショーソン)
- 6.「愛と海の死」~リラの花咲くころop.19-3/(エルネスト・ショーソン)
- 7. 華やかな宴 第1巻 – 第1曲「ひそやかに」/(クロード・ドビュッシー)
- 8. 華やかな宴 第1巻 – 第2曲「操り人形」/(クロード・ドビュッシー)
- 9. 華やかな宴 第1巻 – 第3曲「月の光」/(クロード・ドビュッシー)
- 10. 抒情的散文 – 第1曲「夢に」/(クロード・ドビュッシー)
- 11. 抒情的散文 – 第2曲「砂浜に」/(クロード・ドビュッシー)
- 12. 抒情的散文 – 第3曲「花に」/(クロード・ドビュッシー)
- 13. 抒情的散文 – 第4曲「夕暮れに」/(クロード・ドビュッシー)
- 14. 眠れぬ夜 – 第1曲「終わりなき夜」/(クロード・ドビュッシー)
- 15. 眠れぬ夜 – 第2曲「彼女が入ってくると」/(クロード・ドビュッシー)
- 16. 「7つの歌op.2」~第6曲「エベ」/(エルネスト・ショーソン)
- 17. 「7つの歌op.2」~第7曲「蜂鳥」/(エルネスト・ショーソン)
- 18. 「4つの歌op.8」~第1曲「夜想曲」/(エルネスト・ショーソン)
- 19. 「4つの歌op.8」~第3曲「悲しい春」/(エルネスト・ショーソン)
- 20. 2つの二重唱曲op.11 – 第1曲「夜」/(エルネスト・ショーソン)
- 21. 2つの二重唱曲op.11 – 第2曲「目覚め」/(エルネスト・ショーソン)
2019年12月にピアニスト 安嶋健太郎先生の公開レッスンを受けさせていただき、ドビュッシーの版画より第3曲「雨の庭」を見ていただいたのですが、この曲の中間部の演奏イメージについて、先生がこの盤に収録されているドビュッシーの歌曲「艶やかなる宴」を、参考にかけて説明してくださいました。↓インスタ動画の、私によるまだまだ未完成のお耳汚しでしかない演奏ですと、2分18秒あたりからのパート、フランスの童謡「もう森へは行かない」のメロディを引用している部分です。
安嶋先生曰く「この部分、右手左手に交互に現れるメロディは完全に歌の応答なので、歌うように聴かせたいところです。じゃあドビュッシーの曲はどうに歌えばいいの?ということですが、どの作曲家についてもいえることだけど、歌ですから、その作曲家の歌曲を聴くのがとても参考になりますね」と。
「確かに!」ですよね。完全にピアノ曲というマインドセットになっていて、そのように練習していたたし、参考に聴いていたのもいろいろな演奏家による「ピアノ演奏」だったので、自身の視野がとても狭かったことにハッとさせられました。
そんなこんなで、私の演奏の出来はさておき( ^^;)、安嶋先生のひとことで、練習中の「雨の庭」に対する理解が一気に立体的に広がるのを体感できました。ほんの小さなポイントなんですが、とても大きな気づきでした。
普通にピアノ教室に通っていて、先生がレッスン曲以外の、例えばオーケストラとか室内楽曲もかけてくれて、楽曲への理解を深めるためのレクチャーをしてくれる機会って、なかなかないと思うんですよね。ピアニストによる公開レッスン、私にとっては、非常に精神的ハードルも高かったのですが、勇気を出して受けてみました。1時間のレッスンで、たくさんのイマジネーションや細やかな色付けや難しい部分の練習法や弾きやすい運指の提案をいただき、本当に勉強になりました。また新たな一歩を踏み出せたというか。学びって世界が広がって楽しいですね ^^
私は、普段BGMとして歌曲を聴くことはほとんどなかったのですが、今回、安嶋先生に教えていただいたクリスティーネ・シェーファーさん盤ドビュッシー&ショーソン歌曲集で、歌曲への興味の扉が開いた感じがしました。ポール・ヴェルレーヌの詩による「艶やかなる宴」(Fêtes galantes) をはじめ、ドビュッシー自身の作詞による叙情的散文(Proses lyriques )やショーソンの歌曲など、水彩画のような模糊とした色の移ろいが目に見えるようで、19世紀末〜20世紀初頭のフランス歌曲の世界観が感じられ、とてもお洒落な一枚と思います。「艶やかなる宴」、タイトルも新年にぴったりと思います。
ちなみに、「艶やかなる宴」第1集(1891)の第3曲のタイトルは「月の光」(Clair de lune)。ドビュッシーといえば真っ先に思い浮かぶくらい有名なピアノ曲、ベルガマスク組曲(1890)の第3曲「月の光」と、タイトルも同じで作曲年代も近いのですが、同じ「月の光」でも、この2曲は全く違う曲なっているのも興味深いところ。聴き比べてみるのも面白いですね。
では、オフィスフラワーの話に戻ります。^^
今回の新年生け花、とても大きい作品なのですが、単体写真だとその大きさが分かりにくいので、新年のご挨拶も兼ねて作者の松島もいっしょに撮ってみました(クッタリした千両を隠す立ち位置 ^^;)。
ちなみに植栽設計中の建築現場視察帰りのため厚着のままですが、新社屋の室内は床暖房で温かいのでご安心くださいませ。ちなみに高崎市の旧乙庭店舗では、この格好でも凍えるほど極寒でした(ヘタすると屋外よりも寒い ^^; )。
前述の、ドビュッシーのピアノ曲を理解するために、歌曲の方向から見てみたら視野を広がった話にも通じますが、生け花を「生け花」としてだけ創るよりも、庭を「庭」としてだけ造るよりも、植物を「植物」としてだけ観察するよりも、いくつかの違った視点や考察を持つことで、出来上がる作品に深みや説得力が増すと思うんですね。
生け花でいえば、切り枝や切り花だけを見ているのでは、その植物がどんな風に生えるものなのか全体像で想像できなかったり、正しい植物名さえも分からなかったりします。それを知ってるかどうかで、出来上がる作品には違いができると思うし、作者が作品を説明する言葉も変わってくると思います。
庭も、庭造りについての知識を深めることも大切ですが、関連する教養として生け花の美的バランスの原理や精神を知っているか否か、使うそれぞれの植物が原生地ではどんな植物と共に、どんな風に生えているのかをイメージできるか否かで深みに差が出てくるでしょう。
どんなことでも知ってて無駄なことはないですよね。知っていることをいろんな場面で効果的に引き出せ、せっかくの知識を無駄にしないことが大切なのではないでしょうか。
ターゲットの構成要素が明らかになっていても、それを結びつけるための既知の事柄(ソース)が不足していると類似点の発見が起こりえない。端的に言えば、ある程度の知識・経験が「引き出し」として欠かせないということである。
(佐宗邦武 戦略デザインファームBIOTOPE CEO / Chief Strategic Designer )
今日の一冊
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私、ACID NATURE 乙庭 太田敦雄の著作本、
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