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【メディア掲載】「天神山のアトリエ」 TOTO 通信 2022年 新春号

衛生陶器など住宅設備機器の大手メーカー TOTO株式会社さんが発行する企業誌「TOTO通信 2022年 新春号」にて、表紙および、特集「植物と建築の融合」の実例トップとして、藤野高志/生物建築舎さん建築設計、ACID NATURE 乙庭が植栽設計を担当させていただいた「天神山のアトリエ」(2010年竣工)が10ページにもわたり大きく掲載されました。

「TOTO通信」は書店などで販売される雑誌ではなく、建築設計事務所や建設会社、建築設備関連会社などに配布される企業誌です。書店ではお求めになれないのですが、乙庭SHOPには配本いただいております。2022年初時点でまだ在庫がありますので、今、乙庭オンラインショップで「太田敦雄サイン入り掲載誌」をお買い求めの方に、本「TOTO通信2022年 新春号」もサイン入りでオマケ同梱させていただきます! 在庫冊数に限りがございますので、どうぞお早めに!

私の家は父の代から建築設備設計事務所を営んでおりましたので、「TOTO通信」は学生時代からずっと見てきました。先進的な若手建築家を意欲的に取り上げたり、また、少し先の建築トレンドを先取りするような特集を組んでいたりと、毎号、新しい視点を提示してくれるハイクオリティな内容にとても愛着を持っていました。

ちなみに1990年代の号からバックナンバーすべて保管していたので、なにげに私、「TOTO通信」マニアの中でも結構筋金入りの部類かと思います ^^

2019年に新社屋に引っ越す際、紙の本やCD・アナログレコードを激・大量に処分したのですが、「TOTO通信」のバックナンバーは現代日本建築史の記録としても資料価値が高く、なおかつ書店で販売される本ではないため、これだけのコレクションは廃棄するにはしのびなく、今回掲載された「天神山のアトリエ」の設計者 藤野高志さんに、コレクション丸ごと寄贈しました。

まさか、私自身の植栽家デビュー作品が、長年親しんできた「TOTO通信」の表紙になるとは!、若い頃の自分には思いもよらなかったであろうできごとで、たいへん光栄に、そしてうれしく思っております ^^

ちなみに取材当日にアトリエ屋内の様子を撮った動画がこちら↓

 

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鉄筋コンクリート打ちっぱなしの南側壁面をやんわり断熱する目的で植えた黄金葉のツタ パルテノシッスス ‘フェンウェイパーク’  Parthenocissus tricuspidata ‘Fenway Park’が、内壁の結露防止のために常時開けっ放しにしてある窓から屋内にも侵入し、ガラス屋根を支える梁にもつたって垂れ下がる姿が、(もちろんいい意味で)自然界に打ち捨てられた廃墟のような、自然による人工物への侵食感を醸し出していて、幻想的かつこのプロジェクトが世に問うた意味を感じさせてくれました。

 

2010年12月18日の竣工内覧会のときには、ガラス屋根はこのような、たいへんピュアに建築だけの状態でしたので、この10年間での変化の大きさに驚かされますね。

同竣工内覧会当日の外観。写真左手の青い看板のあたりに、私がアメリカから輸入した、丈が15〜20cmフェンウェイパークの小さな苗が植えてあります。動かない建築を定点に植物が動体として育っていくバランスやダイナミクスの変化をテーマにした建築なので、多くの植物は小苗で植栽しました。その上、真冬の竣工だったため、地上部に見られる植物といえば、冬枯れした樹木の幹が何本かだけだったんですよね。^^;

内覧に来られた方の多くも「えっ、植栽ってどこにあるわけ?」的な怪訝な様子でした。想定内ではありまししたが、当時の私は無名でもあったので、その時点で「ドヤっ」と見せられる植物がほぼ一個もない居心地の悪さもありましたね。ある意味、植栽家デビュー作としては、発表に勇気のいるプロジェクトでした ^^;

竣工当初の屋内の様子。今回の「TOTO通信」の表紙の大窓いっぱいに聳え立っているレモンユーカリの木も、人間の身長くらいの「棒っきれ」のような状態でしたね(もちろん想定内ですよ)。 ^^

 

ただの地面だけだったようなこの冬の竣工時と、数ヶ月後の春や数年後に大きく育った植栽の様相変化による、建築と植栽のバランスや関係の差分を最大限に大きくしたいという考え方でしたので、この「未来の初期設定だけがされた状態」の、ピュアに建築だけに近い状態の記録があることで、このプロジェクトの意味合いっていうのも随分増すのかなと思いっています。^^

竣工のほぼ1年後、2011年11月1日号の雑誌「pen」では、このレモンユーカリがより育った姿で表紙を飾りました。この1本の木も「天神山のアトリエ」という建築のイメージを強く補完するもののひとつだと思うので、「建築はメディアである」と言われるのと同様、「植栽も(使い方次第で)メディアたりえる」と私は強く思っているんですね。

ちなみに外壁南西角に植えた黄金葉の夏ヅタ フェンウェイパークですが、海外のデータでも完成時の高さは5m程度とありましたし、黄金葉の品種は一般に葉緑素が少ない分、緑葉の基本種よりも生育が穏やかなため、設計当初の想定としては下図のようなバランスを想定していました。また、定期的に伸び過ぎても切除メンテすることでも外観バランスを維持できますね。私自身も実際フェンウェイパークを育てていますが、ここまでは大きくならないので(ちゃんと剪定するからか? ^^;)、「天神山」でのフェンエェイパークの育ち方は、ある意味かなり規格外であることを申し添えておきますね。一般の園芸家のみなさまにおかれましては、安心してお育てできる感じかと思います。^^

 

藤野さんが、伸び続けるツタをあえて放任して↓下の写真の上方に開いている窓から屋内にまで侵入することを許容したこと自体が、私にとっては少し想定外でもありましたが、その結果として現在の(いい意味で)廃墟的な風景が生まれているので、それは想定を超えたことではありますが、運命が導いた新しい姿として「それもまた真であり発見だ」と思います。

ちなみに↓写真は竣工2年後 20120610撮影。ほぼほぼ想定図のように順調に育っていて、これはこの植栽の生みの親として「こういう子に育つだろうな」という、植栽家の私がコントロールできる範囲での現象変化ね。

 

では、ここでひと息、この記事を書きながら聞いているBGMを ^^

清水靖晃さんによる、J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」の独自解釈に基づくテナーサキソフォンのため編曲版 YASUAKI SHIMIZU & SAXOPHONETTES 「CELLO SUITES」です。 ^^

 

オリジナルのバッハの「無伴奏チェロ組曲」も大好きな曲ですが、この清水さんの再解釈版は、原曲は分かりますが、ほぼ別物といっていいオリジナリティがあって、素晴らしいです。

たぶん1990年代後半にリリースされていたと思うのですが、発売当初からの愛聴盤で、現在でも折にふれてよく聴いています。私の人生における定番的な普遍価値を持った一枚ですね。

 

「TOTO通信」の話に戻ります ^^

本号では「植物が五感を刺激する」と題し「天神山のアトリエ」を紹介いただいています。

エントランス〜アトリエ〜プライベートエリアと、生活シーンの場面場面で違う植物の香りが漂うように、目を瞑っていても感じられる植物による「香りの風景」を設計していたり、レモンユーカリの樹皮が、一年のある時期になると脱皮のようにバサッと音を立てて剥がれ落ち、めっちゃスベスベした新しい幹が現れたりなど、「天神山のアトリエ」の植栽計画では、視覚だけでなく五感をフル活用して、植物が「同じ場所で生き、暮らしている」ことを感じられる空間になるように考えました。

そう、植物は「生き物」なんです。 家具みたいな「モノ」ではないんですよね。

本件を通じて私が伝えたかったのは、そういうことだったのかなと思います。

 

 

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また、私自身、建築雑誌で拝見してとてもシンパシーを感じていた、建築家 平田晃久さん設計による「Overlap House」の竣工から3年経った様子も掲載されていて、改めてこの建築と植栽との関係性も素敵面白いなー、と思いました ^^

竣工から何年も経ってから、建築&植栽を併せてまるっと雑誌に掲載されることってあまりないことなので、私自身、本号に掲載された実例から、とても多くの学びや勇気や刺激をいただきました ^^

私が植栽家としての一歩を踏み出し、新しい建築&植栽のビジョンを提示するような意欲的なプロジェクトに参加させていただき、生物建築舎さん、TOTO通信編集部のみなさま、そしてプロジェクト関係者のみなさまに感謝感謝です。^^

これからも新しい植栽観を世に提示していけるように精進いたします。

 

今日の一冊、

建築とは〈からまりしろ〉をつくることである(現代建築家コンセプト・シリーズ/LIXIL出版刊) 

 

 

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